2021年8月
原爆の火
叔父の遺骨の代わりに持ち帰り
八女市星野村の「原爆の火」をご紹介します。
原爆の火は、星野村から出征し、1945年8月6日に広島で原爆により被爆された山本達雄さんが、叔父さんの遺骨の代わりにと持ち帰られたものです。
広島市で書店を営まれていた叔父さんは、達雄さんにとって父親のような存在でした。原爆が投下された時、達雄さんは、広島郊外から広島市の軍の司令部に列車で向かう途中でした。強い衝撃に何が起こったのか分からないまま、列車を降り叔父さんを捜しましたが見つからず、書店の地下の防空壕でくすぶっていた火をカイロに入れて持ち帰りました。それから、山本家では仏壇に灯され、火鉢やカマドにも移され、23年間守り続けられました。ある日、お茶の取材に来ていた新聞記者に火のことを話し、記事になったことで世に知られることとなりました。
そして、1968年に星野村がその火を引き継ぎ、「平和の塔」が建てられました。
1995年に平和の広場に建設された、新しい「平和の塔」に原爆の火は灯され、毎年、8月6日に平和祈念式典が開かれています。
原爆の火は現在全国18ヶ所へ「分火」されています。また「採火」されて平和行事などに使われ、日本中に広がりました。1988年、ニューヨークで開催された国連軍縮特別総会にも「平和の火」として届けられました。
2021年8月