2022年5月
旧伊藤伝衛門邸
筑豊の石炭王の豪邸
飯塚市にある旧伊藤伝右衛門邸を紹介します。約2300坪の広大な敷地に、300坪の豪邸は2007年から一般に公開され、国の重要文化財にも指定され、大きな庭園もまた国指定名勝に指定されています。筑豊地域は、明治・大正・昭和にかけて石炭エネルギー供給地日本一の場所でした。当時「筑豊御三家」と呼ばれた麻生、貝島、安川に続いたのが炭鉱王、伊藤伝右衛門です。
伊藤伝右衛門は1911年に大正天皇の従妹にあたる柳原白蓮と再婚します。50歳にして、25歳の若き花嫁を迎えることになった伝右衛門が、白蓮のために日本建築の粋を集めて改築したのが、この旧伊藤伝右衛門邸です。この夫婦は、NHKの朝ドラ「花子とアン」の蓮子と嘉納伝助のモデルとしても話題になりました。内部は京都からわざわざ宮大工を呼んで技を尽くさせたという、様々な技法や装飾に満ちています。部屋の数はなんと25部屋あり和洋折衷の豪華な造りになっています。白蓮の部屋からは広大な日本庭園を一望できるようになっています。伝右衛門と白蓮は共に約10年間この地で過ごし、後に世間を騒がす波乱万丈の物語を展開します。
筑豊における石炭産業の歴史と、それに関わった伝右衛門たちの人生を物語る貴重な歴史遺産です。飯塚市にお越しの際は是非お立ち寄り下さい。入館料は大人310円、水曜日が休館日となっています。
2022年5月