2022年10月
福岡市赤煉瓦文化館
~明治・大正ロマンに想いをはせて~
福岡の天神の街は今、ビックバンの名のもとにビルの建て替えや高層化が進められています。そのなかで、ひときわ目をひくのが「福岡市赤煉瓦文化館」です。
明治42年(1909年)に、当時を代表する建築家であった、辰野金吾氏と片岡安氏の設計により「日本生命保険九州支店」として建てられました。ちなみに施工は当時の清水組でした。社屋として使用されたのち昭和44年3月に重要文化財に指定されたのを機に、福岡市が買収しました。
この建物は、角地に合わせて凸凹のある不整形な平面を持っています。中央にドームを載せ、小搭や屋根窓を多彩に施した屋根と、赤煉瓦に白い花崗岩の帯を装飾的に使った外壁が、華やかな街角を飾っています。このスタイルは辰野氏の留学時代、19世紀末にイギリスで流行した、クイーンアン様式の応用で「辰野式」と呼ばれました。
その後、福岡市の管理のもと、平成2年まで歴史資料館として志賀島で発見された「金印」などが展示されるなど、市民や多くの方に学習の場として利用されてきました。そして、平成6年からは「福岡市赤煉瓦文化館」としてオープンし、現在は貸し会議室などとして市民に開かれた施設として使われています。
この歴史的価値がありロマンあふれる建物を天神に行かれたついでに探訪されてはいかがでしょうか。
場所:昭和通り天神橋口交差点より中州方面へ徒歩3分、税務署入口交差点の右角。
2022年10月