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2014年10月9日(木)

大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決 国の責任認め勝訴

大阪泉南アスベスト訴訟最高裁判決 国の責任認め勝訴10月9日、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は、大阪・泉南アスベスト国賠訴訟において、国の責任を認める原告勝訴の判決を言い渡しました。
最高裁判所によって国の責任が断罪されました。
この判決を受けて、九州建設アスベスト訴訟団の平元薫原告団長は「大阪泉南アスベスト訴訟 最高裁判決を受けて」というコメントを発表しました。

「最高裁判所が、アスベスト被害について、初めて国の責任を認めたという点は心から歓迎したいと思います。アスベスト被害による、むごい苦しみを訴えた被害者の声が最高裁判所に届いたのだと思います。今の段階では、原告の皆さんすべてが救済されるかどうかわかりませんが、この判決が、全てのアスベスト被害者の救済とその被害の根絶につながることを心から念願します。アスベストはまだまだ私たちのまわりの建物などに残されています。解体工事や災害による粉じんの飛散の心配もあり、この問題は国民全体の問題だと思っています。今後もこの判決を希望の光として、すべての被害者の救済と被害根絶につながるまで訴え続けていきたいと思います」。

泉南最高裁判決の骨子としては、局所排気装置の設置を義務付けなかったことにのみ違法を認め、マスクの着用などは補助的な手段に過ぎないとして切り捨て、局所排気装置の
義務付けがおこなわれた昭和46年・1971年以降に就労した7名については敗訴が確定しました。2陣の大阪高裁で勝訴判決を受けた54人については国の上告を棄却して賠償確定。1陣の大阪高裁で敗訴判決を受けた28人については、高裁敗訴判決を破棄し、最高裁に審理のやり直しを命じて損害額の算定をやらせるとしたものです。

以下は10月9日に出された、「大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟原告団・弁護団」「泉南地域の石綿被害と市民の会」「大阪泉南地域のアスベスト国賠訴訟を勝たせる会」の共同声明文です。

1、本日午後3時、最高裁判所第一小法廷(白木勇裁判長)は、大阪・泉南アスベスト国賠1陣訴訟(原告34人・被害者26人)及び2陣訴訟(原告55人・被害者33人)の上告審において、国の責任を認める原告勝訴の判決を言い渡した。
2、本判決は、国の規制権限不行使について、国が、1958(昭和33)年時点で、局所排気装置の設置を義務付けなかったことは国家賠償法1条1項の適用上違法であると認定して、国の責任を認めた。
3、 本判決は、アスベスト被害について国の責任を認めた初めての最高裁判決である。司法の頂点にある最高裁が、憲法と法令に則り、国民の生命・健康こそが至高の価値であることを確認し、国にはこれを最大限尊重して規制権限を行使する義務があることを明確に認めた意義は極めて大きい。
もっとも、本判決が、1971(昭和46)年以降の違法を認めなかったのは、その後も国の対策が不十分であり被害が発生拡大し続けたことを無視したものであり、不当と言わざるを得ない。
泉南地域では、100年間にわたって石綿原料から糸、布を作る石綿紡織工場が集中立地し、戦前は軍需を、戦後は経済成長を下支えしてきた。ところが、その陰で、石綿工場の労働者のみならず、家族ぐるみ、地域ぐるみでの深刻なアスベスト被害が発生していた。国は、70年以上も前から、石綿紡織工場を対象とした自らの調査によって、深刻な被害実態を知悉(ちしつ=知り尽くしていること)しながら、アスベストの経済的有用性を最優先し、規制や対策を長期間にわたって怠った。この「国の怠慢」こそが、アスベスト被害をこれほどまで拡大した最大の原因である。泉南アスベストは、わが国のアスベスト被害の原点であり、国の誤り、怠慢の出発点でもある。
最高裁が、アスベスト被害の原点である本訴訟において国の責任を認めたことは、全国6箇所の建設アスベスト訴訟、尼崎クボタ訴訟等、国の責任を追及する訴訟に大きな影響を与える。また、泉南地域の被害救済はもとより、全国に広がったアスベスト被害について、国の責任の明確化と共に、被害救済のあり方や将来の被害防止対策の抜本的な見直しを迫るものとなる。さらには、本訴訟は国際的にも注目されており、現在もなおアスベストを使用しているアジアを中心とした国々への重要な警鐘となるであろう。
4、1陣訴訟提訴後8年半を経過する中、裁判係属中に1陣、2陣訴訟の被害者らのうち14名が亡くなり、提訴前の死亡者とあわせるとすでに6割近くの被害者がこの世を去っている。また、生存原告も日々、高齢化と病気の進行、重篤化に苦しみ、1日も早い解決を待ち望んでいる。
私たちは、国に対し、今回の最高裁判決を重く受け止め、何よりもまず、加害者として原告ら被害者に真摯に謝罪することを強く求める。その上で、国は、最高裁判決を基準に、1陣、2陣訴訟の原告らに対して、一括して速やかに賠償金を支払うとともに、原告ら以外の泉南地域の被害者救済や残存アスベストの除去等に向けた協議など、泉南アスベスト被害の全面解決に誠意を持って応じるべきである。
本日の最高裁判決は、全てのアスベスト被害の救済と対策の礎となるであろう。私たちは、世界中の心ある人々と共に、ノンアスベスト社会の実現に向けて、新たな一歩を踏み出す決意である。

2014年10月09日 | アスベスト関連ニュース |

 

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